伝位・免状
伊賀風山流の根本伝書である『経権提要』は、訓童から天官・八陣まで十一の部に分けて兵法の次序を定めています。現在の当流では、これに基づいて、初伝から最高位に位置する奥伝に至る伝位・免状制度を定めています。
門人は、修行の段階に応じて、本部が発行する正式な伝位・免状を得ることができます。これによって、自身をより高めたいという意欲を持って兵法の学習に取り組むとともに、自身の成長を目に見える形で実感することができるでしょう。
初伝
初伝は、初学者がまず習うべきとされているものです。
伝位 | 部 | 内容 |
---|---|---|
初伝 | 入門 | 伊賀風山流に関する基本的な知識や兵法を学ぶ上での基礎を身につけます。 |
訓童 | 武門の初学者がまず習うべき要領を掲げたものです。武士としての振る舞い、武具の扱い、敵や地形の観察術、敵を攻撃すべき場合の見分け方など、兵法の基本を学びます。 | |
修己 | 自国を治める方法を説くものです。修身と言わずに修己と言うのは、まず己を修めて後、相手を制するという意味が込められているためです。国を治める方法、築城学、開戦前の軍議などを学びます。 |
中伝
中伝は、初伝と後伝の中間に位置するもので、武備三段とも呼ばれます。
伝位 | 部 | 内容 |
---|---|---|
中伝 | 出師 | 出陣し行軍する際の定めです。大名や将軍旗本の行列における役職や編成、行軍において守るべき軍法などを学びます。 |
止師 | 陣営を構える際の定めです。陣営を構える方法、考慮すべき地勢、陣営における禁止事項などを学びます。 | |
部曲 | 部隊を編成する際の定めです。鉄砲足軽、弓足軽、長槍足軽の練兵、行軍と戦闘の際の陣形などを学びます。 |
後伝
後伝は、兵家の密法であり先づ伝えるべからずとされているものです。
伝位 | 部 | 内容 |
---|---|---|
後伝 | 攻戦 | 合戦における戦法です。寡を以って衆を撃つ戦い方、車懸、夜戦、攻城などを学びます。 |
水船 | 水上の合戦における戦法です。船による戦い方などを学びます。 | |
能終 | 合戦を終えた後の勝ちどきや論功行賞です。合戦に勝利して勝ちどきを上げる際の作法、合戦における武功の種類や賞罰の与え方などを学びます。 |
別伝
別伝は、訓童から能終までの各段階において必要とされ欠くことができないものであるため、それぞれの箇所で学びます。
伝位 | 部 | 内容 |
---|---|---|
別伝 | 兵器 | 兵を統率するための道具について説くものです。鐘、太鼓、法螺貝、旗、軍扇、白旄、軍鞭、帷幕、幌の九種の道具について、寸法、制法、故事などを学びます。 |
奥伝
奥伝は、兵家の奥義とされているものです。
伝位 | 部 | 内容 |
---|---|---|
奥伝 | 天官 | 天官は、古来より伝わる軍配兵法です。 |
八陣 | 八陣は、兵家の極意とされる八陣です。 |